【オーディブル】『銀座「四宝堂」文房具店』SNSに疲れた心に寄り添う3冊
私たちがいま生きている社会では、SNSを通じてたくさんの情報が手に入りやすい反面、心が疲れてしまうことも少なくありません。
そんな時に手に取りたくなるのが、美しい日本語でつづられた静かな物語。
今回は、SNSに疲れた時に読んでほしい3冊をご紹介します。
SNSに触れすぎて疲れてしまった心を本の言葉で癒し、安らかな時間を取り戻しましょう。
- 朗読で楽しむ聴く読書
- 30日間無料体験
- 月額1,500円(税込)
- 20万以上のタイトルが聴き放題
オーディブルの詳しい始め方はこちらの記事で紹介しています⬇
➤【オーディブルの魅力と使い方】大人女性におすすめの聴いて楽しむ読書
1.『銀座「四宝堂」文房具店』上田健次(2022年)
銀座のとある路地の先、円筒形のポストのすぐそばに佇む文房具店・四宝堂。創業は天保五年、地下には古い活版印刷機まであるという知る人ぞ知る名店だ。
店を一人で切り盛りするのは、どこかミステリアスな青年・宝田硯。硯のもとには今日も様々な悩みを抱えたお客が訪れる―。
Amazon.co.jp
『銀座「四宝堂」文房具店』は、東京・銀座の小さな文具店「四宝堂」を舞台にした心温まる連作短編集。四宝堂はこだわりの文房具を扱う老舗で、手紙や筆記具を通じて人々の心と心をつなぐ場所として描かれています。
両親に代わり育ててくれた祖母へ感謝の気持ちを伝えられずにいる青年、どうしても今日のうちに退職願を書かなければならないという女性など。それぞれに悩みや困りごとを抱えて四宝堂を訪れますが、思い入れのある文房具と店主・宝田硯との交流が人生を変化させていくきっかけになっていきます。
「読書が好きなかたって、文房具も好きな人が多い気がするんですよね」という著者のアイデアから誕生したこの小説。「万年筆」「システム手帳」「大学ノート」「絵葉書」「メモパッド」など文房具が各章のタイトルになっていて、コクヨのキャンパスノートなど実在のものが登場するのも楽しいです。
丁寧で美しい言葉や静かに流れる時間が、穏やかな癒しを与えてくれる一冊です。
おすすめ度 | |
聴きやすさ | |
再生時間 | 8時間49分 |
まずは頭に浮かんだ言葉や文字をどんどん書き出すことをお勧めします。文章としての組み立ては、その後に考えれば良いかと。
(中略)
ノートは御本人以外が目にすることはありませんから、丁寧に書く必要はないと思います。とにかく、頭に浮かんだ言葉をどんどん書き出す。それが大切です。
オーディブルの落ち着いた朗読も小説の世界観によく合っています。
2.『スピノザの診察室』夏川草介(2023年)
医療が題材ですが「奇跡」は起きません。
腹黒い教授たちの権力闘争もないし、医者が「帰ってこい!」と絶叫しながら心臓マッサージをすることもない。
しかし、奇跡や陰謀や絶叫よりもはるかに大切なことを、書ける限り書き記しました。
Amazon.co.jp
『スピノザの診察室』は、京都の地域病院で働く内科医、雄町哲郎の物語。かつて大学病院で成功を収めた彼は、妹の死をきっかけに一人残された甥と暮らすため現職につきます。
美しい京都の町並みを舞台に、終末期の患者と向き合う医師。生と死、患者や家族の思いが丁寧な言葉で静かにつづられ、悲しみよりも温かい気持ちが心に残る作品です。
「人は病を得て、あるいは死を目前にして、どうやって幸せに生きていくか?」について語られた著者のインタビューでは、穏やかで温かい人柄に触れることができます。できることなら私も最期はこんな医師に看取られたいなと思いました。
水鈴社公式note 『スピノザの診察室』刊行記念インタビュー
医療がテーマの小説ですが、京都の伝統的なお菓子が物語に彩りを添えています。
主人公の哲郎は甘いものが大好き。矢来餅、阿闍梨餅、長五郎餅は特に哲郎のおすすめで、とても美味しそうです。
お取り寄せした京都銘菓を食べながら本を読めば、より深く小説の世界にひたれそうですね。
【矢来餅】
【阿闍梨餅】
【長五郎餅】
おすすめ度 | |
聴きやすさ | |
再生時間 | 8時間7分 |
たとえ病が治らなくても、仮に残された時間が短くても、人は幸せに過ごすことができる。できるはずだ、というのが私なりの哲学でね。そのために自分ができることは何かと、私はずっと考え続けているんだ。
2024年本屋大賞第4位の作品です。
3.『真夜中の栗』小川糸(2022年)
お鍋を囲んだり、りんごケーキを焼いたり。
心と身体がぽかぽかになるベルリンの冬支度。
Amazon.co.jp
『食堂かたつむり』の著者である小川糸さんが、ドイツ・ベルリンと日本での何気ない日常を描いたエッセイ。美しい風景や美味しい食事、人々との交流がやさしく丁寧な日本語で語られ、穏やかな雰囲気のただよう1冊です。
現在の小川さんは長野県・八ヶ岳で暮らし、自然に囲まれた山小屋での生活を「糸通信」という可愛らしい公式サイトで発信しています。時々更新される日記は、季節の食べ物や風景が写真とともにつづられ、まるで物語を読んでいるようです。
小川さんの毎日も同じことの繰り返し。「朝起きてお茶を入れ、仕事をして、お腹が空いたらご飯を食べ、コーヒーを飲み、本を読んで、犬と散歩に行き、買い物をして、晩ごはんを食べ、お風呂に入って、ヨガをして、寝る」。
森の中にある家でそんなふうに暮らすのが私の憧れです。
おすすめ度 | |
聴きやすさ | |
再生時間 | 4時間11分 |
私の毎日はいたって平凡だ。仕事をして、料理を作る。
(中略)
眠れない夜には、茹でただけの栗を食べながら窓辺で夜空を見上げ、年末には林檎ケーキを焼きながら年越しの準備をする。
疲れた時に穏やかな気持ちになれる1冊です。
まとめ
- 『銀座「四宝堂」文房具店』上田健次(2022年)
- 『スピノザの診察室』夏川草介(2023年)
- 『真夜中の栗』小川糸(2022年)
SNSの世界に疲れてしまった時は、美しい日本語で書かれた本を読むのがおすすめです。
今回ご紹介した3冊は、静かな時間を過ごすのにぴったりな作品ばかり。どの本もSNSの喧騒を忘れさせ、心を落ち着かせてくれることと思います。
静かに本の言葉に耳をかたむけ、心をリセットしてみてはいかがでしょうか。
オーディブルでは30日間無料で利用できるキャンペーンを実施中。この機会にぜひオーディブルで聴く読書をお試しください!